インフルエンザについて

Q1. インフルエンザとはどんな病気か?

A. インフルエンザウイルスによって起こる感染症です。

インフルエンザは、
せき、鼻水、のどの痛みなどの「かぜ症状」に加えて、
 ・発熱
 ・頭痛
 ・筋肉痛
 ・関節痛
 ・だるさ(全身倦怠感)
などの
全身症状が比較的急にあらわれることが特徴です。

普通のかぜに比べて症状が強くなることがあり、特に小さなお子さんや高齢の方、基礎疾患のある方などでは、肺炎などの合併症を起こすこともあります。 

ただし、インフルエンザでも必ず高熱が出るとは限りません。 症状だけでは普通のかぜや他の感染症と区別できないこともあります。

Q2. いつ流行しますか?

A. インフルエンザは、例年、冬を中心に流行します。

多くは秋から患者さんが増え始め、冬に流行のピークを迎えます。 ただし、流行が始まる時期や大きさは毎年同じではありません。

近年では、秋の早い時期から流行が始まった年や、春まで流行が続いた年もあります。
インフルエンザの流行時期は、毎年同じではありません。
2020/21、2021/22シーズンは、新型コロナウイルスの流行や感染対策などの影響もあり、大きな流行はみられませんでした。
その後、インフルエンザの流行は再びみられるようになり、2025/26シーズンのように秋の早い時期から流行が始まる年もあります。

Q3. 症状はどのように経過しますか?

A. 感染してから1〜4日ほどの潜伏期間を経て、症状があらわれます。

発熱、頭痛、筋肉痛・関節痛、だるさなどの全身症状が急にあらわれ、せき、鼻水、のどの痛みなどの症状もみられます。

発熱や全身症状は数日で改善することが多く、通常は1週間ほどで軽快します。 
ただし、せきや鼻水、だるさなどは、熱が下がったあともしばらく続くことがあります。

小児では、いったん熱が下がったあとに再び発熱する「二峰性発熱」を認めることもあります。 

また、インフルエンザウイルスは発症する前日ごろから排出され、発症後もしばらく感染力が続きます。 

ウイルスの排出量は解熱とともに減少しますが、熱が下がったあともウイルスを排出していることがあります。

Q4. どのような合併症がありますか?

A. 多くは1週間ほどでよくなりますが、肺炎、中耳炎、熱性けいれん、インフルエンザ脳症などを起こすことがあります。

特に小さなお子さんや基礎疾患のある方では、肺炎などのため入院が必要になったり、まれにインフルエンザ脳症などの重い合併症を起こすことがあります。

インフルエンザワクチンは、感染や発症を完全に防ぐものではありませんが、肺炎や重症化を減らす効果があります。

研究をまとめた報告では、ワクチン接種により、
肺炎:約51%減少
ICUへの入室:約52%減少
人工呼吸管理:約55%減少

する効果が報告されています。

一方、中耳炎や熱性けいれんについては、ワクチンによって明らかに減少するという十分なデータはありません。

インフルエンザ脳症については、ワクチン未接種のお子さんに多いことを示す報告がありますが、現時点では、ワクチンが脳症そのものをどの程度予防するかを数字で示せるだけの十分なデータはありません。
合併症・重症化
ワクチンによる予防効果
肺炎
​約51% 減少
ICU(集中治療室)入院
約52% 減少
人工呼吸器管理
約55% 減少
中耳炎
明確な予防効果は確認されていない
熱性けいれん
明確な予防効果は確認されていない
インフルエンザ脳症
未接種児に多いとの報告あり
【参考文献】
1. Yegorov S, et al. Effectiveness of influenza vaccination to prevent severe disease: a systematic review and meta-analysis. Clin Microbiol Infect. 2025. doi:10.1016/j.cmi.2025.09.023.
2. Jefferson T, et al. Vaccines for preventing influenza in healthy children. Cochrane Database Syst Rev. 2018;2:CD004879.
3. Norhayati MN, et al. Influenza vaccines for preventing acute otitis media in infants and children. Cochrane Database Syst Rev. 2017;10:CD010089.
4. Fazal A, et al. Pediatric influenza-associated encephalopathy and acute necrotizing encephalopathy — United States, 2024–25 influenza season. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2025;74:556–564.
5. Frankl S, et al. Influenza-associated neurologic complications in hospitalized children. J Pediatr. 2021;239:24–31.e1.
6. Grijalva CG, et al. Association between hospitalization with community-acquired laboratory-confirmed influenza pneumonia and prior receipt of influenza vaccination. JAMA. 2015;314:1488–1497.

Q5. インフルエンザの検査はいつ受ければよいですか?

A. 発症してすぐの検査では、インフルエンザでも陰性になることがあります。

インフルエンザの検査は、鼻やのどにいるウイルスを検出して診断します。

発症して間もない時期はウイルス量がまだ少なく、感染していても検査で陰性になることがあります。

特に迅速抗原検査では、発症から時間がたつほど検出しやすくなる傾向があります。

ただし、検査を受けるタイミングは、症状の強さ、発症からの時間、周囲の流行状況などによって異なります。検査結果だけではなく、症状や診察所見も含めて総合的に診断します。

Q6. 検査が陰性でもインフルエンザのことがありますか?

A. はい。検査が陰性でも、インフルエンザのことがあります。

インフルエンザの検査は100%ではありません。特に、次のような場合には感染していても陰性になることがあります。

・発症して間もないとき
まだ鼻やのどのウイルス量が少なく、検査で検出できないことがあります。

・十分な検体が採取できなかったとき
鼻の中のウイルス量にはばらつきがあり、採取する場所や方法によって結果が変わることがあります。検体の採取部位によっても検出率が異なります。

・検査方法による違い
一般的な迅速抗原検査より、ウイルスの遺伝子を調べる迅速分子検査やPCR検査の方が検出感度は高いとされています。

そのため、検査が陰性だからといって、必ずしもインフルエンザを否定できるわけではありません。周囲の流行状況、症状の経過、診察所見なども含めて、総合的に判断します。

Q7. インフルエンザの治療はどうしますか?

A. 基本は、十分な休養と水分補給です。

インフルエンザの多くは、安静にして十分な睡眠をとり、水分をしっかり補給することで、自然に回復していきます。 

発熱や頭痛など症状がつらい場合には、必要に応じて解熱剤などを使用します。 また、年齢、症状の強さ、基礎疾患の有無、発症からの時間などを考えて、抗インフルエンザ薬を使用することがあります。

 抗インフルエンザ薬については、次のQで詳しく説明します。

Q8. 抗インフルエンザ薬にはどのようなものがありますか?

A. 内服薬、吸入薬、点滴薬があります。

抗インフルエンザ薬にはいくつかの種類があります。
年齢、症状、薬を飲めるか・上手に吸入できるか、基礎疾患などを考えて選択します。


抗インフルエンザ薬

薬剤
剤形
治療方法
特徴
タミフル®
内服
1日2回・5日間
粉薬とカプセルがあり、小さなお子さんにも使用できます。
リレンザ®
吸入
1日2回・5日間
自分でしっかり吸入できることが必要です
イナビル®
吸入
1回
1回の吸入で治療が終了します
ゾフルーザ®
内服
1回
体重によって投与量が異なります
ラピアクタ®
点滴
原則1回
内服や吸入が難しい場合などに使用します

Q9. インフルエンザのときに「異常行動」は起こりますか?

A. はい。インフルエンザにかかったときには、まれに「異常行動」がみられることがあります。

突然走り出す、部屋から飛び出そうとする、ウロウロ歩き回る、意味のわからないことを言うなどの行動がみられることがあります。

以前はタミフル®との関係が心配されましたが、抗インフルエンザ薬を使用していない場合にも異常行動は起こることがわかっています。

また、服用した抗インフルエンザ薬の種類にかかわらず異常行動が報告されており、薬との因果関係は明らかになっていません。

2025年に報告された約69万人の小児・思春期を対象とした大規模研究では、
インフルエンザ罹患中に重篤な神経・精神症状が起こる頻度は、タミフル®(オセルタミビル)を使用した場合の方が、使用しなかった場合より約47%低いという結果
でした(調整IRR 0.53、95%CI 0.33–0.88)。

少なくとも、タミフル®が重篤な神経・精神症状を増加させるという結果ではありませんでした。

2025年に発表された9研究の系統的レビュー・メタ解析でも、
オセルタミビルによって神経・精神症状や行動上の有害事象が増えるというエビデンスは認められていません。 20歳未満だけをみても有意なリスク増加は認められませんでした(RR 0.87、95%CI 0.72–1.05)。

異常行動は特に発熱から2日間以内に多く、転落などにつながる重い異常行動は、就学以降の小児・未成年者の男性に多く報告されています。

抗インフルエンザ薬を使用しているかどうかにかかわらず、少なくとも発熱から2日間は、転落や飛び出しなどの事故が起こらないよう十分に注意してください。

【参考文献】
1. Antoon JW, Williams DJ, Bruce J, et al. Influenza With and Without Oseltamivir Treatment and Neuropsychiatric Events Among Children and Adolescents. JAMA Neurol. 2025;82(10):1013-1021. doi:10.1001/jamaneurol.2025.1995.
2. Jeong HS, Lee YW, Rhee TG, et al. Associations of oseltamivir with neuropsychiatric and behavioral adverse events: a systematic review and meta-analysis. J Manag Care Spec Pharm. 2025;31(10):1051-1061. doi:10.18553/jmcp.2025.31.10.1051.
3. 厚生労働省.令和7年度 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A「抗インフルエンザウイルス薬と異常行動」

Q10. インフルエンザを予防するには?

A. 手洗い、咳エチケット、換気などの基本的な感染対策が大切です。

インフルエンザは、せきやくしゃみなどによる飛沫や、ウイルスが付着した手などを介して感染します。日常生活では、次のような対策を心がけましょう。

・こまめな手洗い
石けんと流水による手洗いが基本です。アルコールによる手指消毒も有効です。

・咳エチケット
せきやくしゃみがあるときは、マスクを着用するなど、周囲の人に飛沫を広げないようにしましょう。

・室内の換気
季節を問わず、室内ではこまめに換気をしましょう。

・流行時には人混みを避ける
特に高齢者、基礎疾患のある方、妊婦など重症化リスクの高い方は、人混みへの外出を控えることも予防策の一つです。

・日頃の体調管理
十分な睡眠・休養と、バランスのとれた食事を心がけましょう。

そして最後に、
インフルエンザワクチンには、発症を減らし、発症した場合の重症化を防ぐ効果があります。
詳しくは「インフルエンザワクチンQ&A」をご覧ください。

Q11. インフルエンザになったあといつから登校(通園)できるか?

A. 「発症した後5日を経過」し、さらに「解熱した後2日(幼児は3日)を経過」してから登園・登校できます。

インフルエンザでは、熱が下がってもすぐに感染力がなくなるわけではありません。

そのため、学校保健安全法では、
発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで
幼児では、解熱した後3日を経過するまで
を出席停止期間としています。

ここで大切なのは、両方の条件を満たす必要があるということです。
※発症した日、解熱した日は「0日目」として数えます。翌日から1日目となります。

出席停止期間を過ぎたあと、登園・登校のために改めてインフルエンザの検査を受ける必要はありません。
※文科省・厚労省も、出席停止期間を経過した後の
治癒証明書や陰性証明書は不要としています。
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