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パラインフルエンザウイルス(PIV)

Q. どんな病気をおこすウイルスですか?

A.
 
パラインフルエンザウイルスは、乳幼児から成人まで、かぜ、気管支炎、肺炎、クループなど、さまざまな呼吸器症状を起こす代表的なウイルスの1つです。

・クループの原因の75%がPIVといわれる

*クループ:のどの奥が腫れて、オットセイが鳴くような咳(犬がほえるような咳)がでる病気

Q. どんなウイルスですか?

A.
名前が似ていますが、インフルエンザウイルスとは全く異なるウイルスです。

 直径150〜200μmのRNAウイルスで、上気道(鼻やのど)から下気道(気管支、肺)に感染します。 型が4種類あり、発症年齢や症状などが少しずつ異なります。 小児でも成人でも、3型が1番多く見られます。

Q. いつ流行しますか?

A. 
3型は春から初夏にかけて流行します。 1型、2型、4型は、秋から冬にかけて流行が見られます。

Q. だれでも感染しますか?

A. 
だれでも感染します。
 乳児から成人まで感染が見られます。 

年齢が低いほど、3型の割合が高く、徐々に他の型も増えていきます。 5歳までに、1型〜3型の感染を受けることが知られています。 3型は、感染力が強いため、保育所や施設などで集団感染の原因になることがあります。

Q. 何度もかかりますか?

A. 
再感染する(またかかる)こともあります。
小児期には、再感染をくりかえすことがいわれています。 また、健康な成人でも、感染することは一般的だといわれます。

Q. どんな症状ですか?

A. 
潜伏期間は3〜5日で、
発熱、咳(せき)、鼻水、喘鳴(ぜーぜー)がみられます 
・他にも、咽頭痛、のどの違和感、嗄声(声がかれる)など、かぜに伴う症状がみれれる。 
・熱が出た場合、約90%以上が、38℃以上の発熱であった。
 ・嘔吐や下痢などの胃腸症状が、10〜25%にあった。

 診断として、 
❖ 40〜60%:上気道炎、咽頭炎、かぜ、クループ   このうち、30〜60%は、中耳炎を合併する

 ❖ クループ 
・PIV1型、PIV2型が60〜75%の原因を占める。 
・1〜2歳に多い。 ・最初の症状は、発熱、嗄声(声がれ)、咽頭炎で始まって、 12〜48時間で特徴的な咳(犬吠様咳嗽、オットセイが鳴くような咳)になる 

❖ 気管支炎・肺炎 乳児におきるので、RSウイルスによる気管支炎と区別が難しい。 10〜60%はRSウイルス、やヒトメタニューモウイルスなど混合感染がみられる。 

参考文献 
(Vixao NG, et al. J Med Virol 2016) 
(三浦 拓人ら. 仙台医療センター医学雑誌 2020) 
(Branche AR, et al. Semin Respir Crit Care Med 2016)

 



Q. どんなひとが重症化しますか?

A. 
重症化する可能性があるのは・・・・
・先天性心疾患、肺疾患(うまれつき心臓や肺に病気があるお子さん)
・神経・筋疾患、免疫不全の基礎疾患または骨髄移植を受けた方 
・気管支喘息
・高齢者

Q. . どのようにして感染しますか?

A. 
接触感染、飛沫感染 発症する1週間前から、症状がなくなって1〜3週間後までウイルスは排泄されます。

かかっているひとの咳、くしゃみ、話しているときにとぶしぶき、 ウイルスがついた手やその手で触ったもの(ドアのぶ、おもちゃなど)に触れて、舐めたりするとかかります。 
赤ちゃんや小さいお子さんは、いろんなものに触ったり、舐めたりするので 流行時期にはかかりやすいといえます。

Q. . 診断は?

A. 
迅速検査はありません。
症状と他の感染症の除外で診断されます。 

*血液検査や、PCR法による検査で診断されます。

Q. . 治療法は?

A. 
特効薬はありません。ワクチンもありません。 

クループのときには、ステロイドの吸入や内服治療が有効です。 その他、治療は、年齢と症状に応じた対症療法です。

Q. . 予防法は?

A. 
咳エチケット(マスク)、手洗い、周囲の消毒です。 

飛沫感染(せきやくしゃみ、など)や接触感染(ウイルスがついたおもちゃなどをなめる など)により感染します。

飛沫感染対策は、年長児や大人では、症状が軽く気づかないうちに感染さえていることも多いため、 咳やくしゃみがある場合は、マスクを着用しましょう。 

接触感染対策は、 子どもたちが日常的に触れるおもちゃ、手すりなどはこまめにアルコールなどで消毒しましょう。 手洗いかや、アルコール製剤による手指の衛生も心がけましょう。

Q. いつから幼稚園、保育園は通園できますか?

A. 
明確な基準はありません。
「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症」では、
咳などの症状が安定した後、全身状態のよい者は登校(園)可能であるが、手洗いを励行する。」と記載されています。 

参考文献
学校、幼稚園、認定こども園、保育所において予防すべき感染症の解説 2021年6月版
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